修行記|張り込みには忍耐力と〇〇が必要

張り込みには忍耐力と〇〇が必要

この仕事内容は大半行ってきました。

しかしどれもまだまだ半人前・・・
失敗が許せないため、「新人」は通用しません。
気持ちとやる気は一人前で、日々頑張っております。

前回の修行記で少しお話した「忍耐力」について、今回も書いていこうと思います。

この仕事は尾行するだけではなく、対象者が動き出すまで張り込まなければいけません。

その張り込みには「忍耐力」は必需品です。

対象者はいつ・どこから出てくるかわからないのです。
これがまた辛抱強く待っていないといけない・・・

まず、現場に着いたら張り込み場所を探します。
張り込み場所のベストポジションは、出入りが確実に見えて周りに怪しまれない場所!
更に理想を言うと、雨風がしのげて座れる場所!
雨風がしのげて座れる場所があれば、もう文句は言いません。
そして同じ場所に何時間もいる張り込みが多いので、周りに怪しまれないように配慮しなければいけません。

場所が決まれば、後は対象者を待つのみ。それだけ!
待ち合わせであれば、本を読んだり携帯をいじったりおしゃべりして時間をつぶすものですが、張り込みはちょっとの油断も大敵です。
数秒でも目を離すと、通りかかった人が対象者なのかもわからなくなる・・・
写真を撮らなければいけないので、気を抜いていたらあっという間に対象者はどこかに消えてしまう・・・

私はいつも、気持ちは対象者、目は出入口、耳は周囲の音、手はカメラ、足はいつでも動ける準備をしています。
なかなか気が休まらない状態です。

「私はこの時間に出ますよ~」と事前にわかれば、「あとちょっと待てばいいのか。」と気持ちが楽になるのに。。

いつ出てくるのか、はたまた出てこないのかもしれないと思うと「忍耐力」がなければすぐにギブアップしてしまうでしょう。

私は張り込み中、出入口を直視するのではなく少し目線を外します。
出てきた人と目が合うのを避けるためです。
目線を外していても動いているものには反応できるように、一点を見つめています。
客観的に見ればボーっとしている人ですが、気持ちは対象者のことしか考えていません。

「忍耐力」とは話が変わりますが、ある日の張り込み中こんなことがありました。

その日は近くの木を見つめて対象者が出てくるのを待ち構えていたところ、待ち合わせをしている女性に「さっきからそんなに木を見つめてどうしたのですか?」と声をかけられました。

いつもは「友達を待っている。」と説明するのですが、その日は正直に?「この木を観察していました。」と答えました。

ちょうど対象者が出てくる時間帯だったので、その女性に「変な人だな。」と思われて早く会話を終わらせたかったのです。

しかし女性は意外と食いついてしまい、「へぇ~!お仕事ですか?趣味ですか?」と問われました。
私は「仕事です。美術関係で・・・」と答えると、女性は驚いて更に質問攻めにしてくるのです。
私は「怪しまれてはいけない!」と思い、「この木は違った魅力を感じます。何時間も観察して良さを上司に報告するのです。」などと、全く普通の木をどれほど魅力があるのか語ってしまいました。

女性は私のその木への熱意を信じてくれて、少しの間話し込みました。

その間、木に熱い視線を送っているかと思いきや、私はちゃんと対象者の出を見張っています。

そして正直のところ「早くどこかに行ってほしいな・・・対象者が出てきたらこの女性に何て言い訳しよう・・・」と思っていました。

思いが通じ、その後女性と待ち合わせをしている友人が来てホッとした瞬間に、タイミングよく対象者が出てきました。

無事に終わったのですが、思い返してみるとあんなに木について語ったことが自分自身でおかしく感じています。

あの時の女性の方、嘘をついてごめんなさい。

普通の木を観察する仕事は、世の中にないと思います。

「忍耐力」に加え、とっさの嘘・判断も必要だと感じた出来事でした。

修行記メニューに戻る

トップページに戻る