尾行の洗礼‐自転車編
皆様お久しぶりです、久米です。
早いもので今年ももう5月。あんなに待ち遠しかった春も、すぐそこまで来ているんですね。
色々と大変なことに見舞われた冬の終わりは、単純に嬉しく感じてしまいます……。
今回のお話は、冬の寒さが始まってきた昨年11月末頃に味わった出来事についてです。
前回は電車での尾行について苦労したと書きましたが、自転車での尾行もまた、独特の難しさがありました。
その時の対象者は普段から自転車移動が多い人で、しかも乗っているのが電動自転車で、加えて対象者の行動範囲には坂道がいくつもあるという状況でした。調査に入る前は「電動自転車って言ったって、要は運転が楽だっていうだけでスピードが速いわけじゃないんだから」などと高をくくっていたところがありました。
本当に大間違いでした。
とにかく速い速い。
電動自転車があんなに速いなんて想像もしていませんでした。
しかも対象者にとっては通い慣れた道。こっちにとっては初めての道。
差を縮めようとしても思うようにいきません。
そして坂道。それも、長い坂道……。
当然ながらと言うべきか、また少し差が開いてしまう始末。
最終的にはなんとか持ち直して、行った先での撮影までしっかり完了できたのですが、相当に苦い自転車デビューとなってしまいました。
そして2日後。同じ案件の2回目の調査にも参加しました。
先日の雪辱を果たそうと気合い十分だったのですが、夕方、事務所出発の15分ほど前になって出鼻を挫かれるようなことがありました。
雨。
ポツポツ降り出したと思ったら一気にウソのような大降りに。
「こんなタイミングってあり……?」と、一緒に現場に入る先輩とともに唖然としながらも、レインコートを車に積み込んで出発しました。
現場までは30分ちょっとかかりましたが、到着しても一向に止む気配なし。
そして、張り込み開始から2時間が経とうとする頃。
出てきました、対象者が。
自分たち同様、頭から足の先までコートを装備した対象者は、いつものように電動機能フル活用といったスピードで走り出しました。
追跡開始!
これがもう、冷たい冷たい。
雨が降ると一時的に気温が上がったりしますが、自転車で爆走している私たちはその恩恵とは完全に無縁でした(おそらく対象者も)。
フードが風でめくれてしまい、顔はもちろん髪の毛もほとんどビショビショ。
折悪しく前日から寒気が入り込んでいたらしく、その風の冷たさといったらもう、顔のあちこちを切り刻まれるような激しさでした。
そして、もっとひどいのが手。走り続けるうちに感覚がほぼなくなってしまい、ハンドルを握ったまま硬直しているかのようでした。
そんな状況の中、カメラと携帯だけは死守しながら追いかけること20分。
いつもは夕方以降も活発に動く対象者も、この日はさすがにまっすぐ帰宅し、その後もずっと家を出ることはありませんでした。
依頼人様とのやり取りを経た上で終了となり、ようやく暖かい車に戻れ、まさに生き返った思いだったのです。
それ以降も自転車を使うことは結構あるのですが、あの日の経験のおかげで大概のことでは動じなくなり、たいしたダメージも受けることなく乗り切れるようになっています。
徒歩尾行・電車での尾行ときて、自転車尾行でも強烈な洗礼を浴びました。
この分だと、車両尾行では一体どんな状況が待っているのか……。
ゾクッとしたものを感じつつも、楽しみで待ち遠しいです!
では、また次回の記事でお会いしましょう~。