謎の美女!深夜の大追跡劇
こんにちわ。土谷一樹です。
残暑もヒドくなく、過ごしやすいこの時期。
皆様いかがお過ごしですか?
暑さの中、街はちょっぴり秋めいてきました。
早くも食欲の秋に備えて胃袋を鍛えている、平成の大食いクイーン 土谷です。
(オトコです。)
それにしても金曜日の新宿は、相も変わらずの大盛況です。
本当に不況なんでしょうかね。
ちょっと安い経済学者みたいな言葉をタレてみましたが、単に皆さんやり場のないストレスをぶつけているのでしょうね。
土谷もさすがにこの前の素行調査では、ストレスが溜まりましたよ。
コトの始まりは、彼氏の行動が最近怪しいという、女性からの依頼でした。
概要は彼の勤務終了後の素行を調べ、彼と接触した女性がいたら、その女性の身元を確認して欲しい、といった内容です。
PM6時半・・・
彼は会社から出て来ると、せわなしなく携帯を取り出し、歩きながらどこかへ電話。
時計を見る仕草から待ち合わせの可能性が高いことが分かります。
新宿駅南口で立ち止まり、辺りを見回している彼。
緊張感が土谷の背筋を駆け抜けます。
隠し撮り用のカメラをもう一度チェック、チェック。
待つこと2分・・・
現れたのは一人の男性。
連れ立って移動を開始しました。
張り詰めていたものがフッと緩み、思わずおしっこがちょっと出そうになる土谷。
気を取り直し、尿道を締めなおし、二人を追いかけます。
繁華街を奥へ奥へと移動していきます。
溢れかえる人を避けながらの厳しい尾行が続きます。
いい加減、どっかに入ってくれないかな、と思ったその時です。
いきなり二人の姿がビルの前で掻き消えました。
慌てて距離を詰めるとそこはゲームセンター。
店内を探すと、太鼓を叩いているターゲットの後ろ姿を発見!
土谷も負けじと隣にある三味線を弾いてやろうかと思いましたが、ここで超絶ウルトラテクを見せつけてもしょうがないので、少し離れたゲーム機の前に腰を下ろし、彼のバチさばきをしばし鑑賞です。
フッ、まだまだ修行が足りんな。
ゲーマー土谷の目はあざむけません!(なんのこっちゃ)
やがてひと汗かいた二人は、人ごみでごったがえす通りを抜け、一軒の居酒屋に入りました。
これでひと段落、と少し肩の力が抜けたところに一緒に素行していた先輩が
「土谷! 気を抜いてるんじゃない! 今日は何曜日だと思ってるんだ?」
「え、金曜日ですよ。」
「つまり店はどこも混んでるってワケだ。」
「だから・・・?」
「ホラ見ろ。出てきた。」
あわてて目で追う土谷。
なるほど。
店に入ったからといって、安心しちゃーいけないワケです。
歩き出したターゲットは、移動の最中もしきりに携帯で誰かと話してます。
オンナと合流!?
そんな誰でも思うようなことを、目を輝かせて先輩に話すと、
「ハイハイ」
と、軽く流されてしまいました(泣)
やがてターゲットともう一人は別の店へ入りました。
さっきのこともあり、しばらく目を凝らしているとナントまた出てくるではありませんか。
しかもターゲット一人で。
また移動するのか、と思ったのもつかの間、ターゲットは店の前で電話し始めました。
ハハーン、店の場所を説明してるな。
土谷の第六感がピーンとおっ立ちました、モトイ、ひらめきました。
また目を輝かせて先輩に言おうと思いましたが、
さっきのこともあるので、ここはコトバを飲み込んでおきましたが…。
しばらくすると土谷の読み通り、妙齢の女性が一人やってきました。
(ほらね)
店の中では盛り上がってるんだろうなぁ、とぼんやり思いつつ、気合の張り込みが続くこと2時間。
やっと出てきた彼らの追尾開始です。
カラオケにでも行って、朝までコースをやられたら辛いな、なんて思っていたら、軽く抱擁をカマして、あっさり駅前でバイバイ。
うーん、ラッキー。
後はこの女性の帰宅を見届けるだけ。
しかしそれが悪夢の始まりであろうとは・・・。
土谷はもちろん先輩も知るよしはなかったのです。
くだんの女性は携帯を取り出し、なにやらメールをしている様子。
そのため歩くのが無茶苦茶遅い。
また駅とは反対方向に進むため、人波にぶつかりぶつかり、よろめきながら歩いています。
「危ないなぁ。ちゃんと前見て歩かなきゃ。」
そのときはそんな余計な心配をする余裕さえあった土谷。
時間はもうすぐ明日になろうというところ。
しかし電車はまだある時間。
電車があるのに歩いて帰るということは、この近くなんだろうな。
これは15分も踏ん張れば、撤収できる。
そしてその後は冷たいビールをキュッと・・・。
そんな思いを胸に、尾行は続きます。
良く見ると前を行く彼女は右へ左へと体が揺れてます。
かなり酔っているご様子。
自分でも判っているらしく、時折立ち止まっては深呼吸をしています。
ちょっとやりづらいな・・・。
歩き方に加え、人気のない路地に入ったことが難易度をUPさせます。
それにしてもどこまで行くんだろう?
そんな思いが脳裏を横切ったのは、歩き始めて45分もたとうかというところ。
彼女は相も変わらずフラフラ~、フラフラ~とゆらめきながら歩いていきます。
そんな折、彼女はコンビニへ入りました。
もう家の近くだな。
あと一息、頑張ろうと四肢にムチを入れ、コンビニの斜め向かいから張り込む土谷。
すると先輩も同じ思いだったのか、彼女に続いてコンビニへ。
何を買うのかチェックです。
フライデーを覗き込む先輩の目は、誌面を突き抜け彼女を観察。
・・・
待つこと5分。
驚くことに何も手に持たずに、コンビニから出てくる彼女。
やや遅れて先輩も店外へ。
すばやくメールで状況確認。
"何も買わなかったんですか?"
"店内をウロウロしてたけど、何も買わずに出て行った。"
クビを捻る探偵二人・・・。
兎にも角にも追尾です。
再びユラユラと歩き出した彼女。
スッと右へ折れると公園のトイレへ。
待つこと10分・・・。
だるそうに体を引きずるように出てきました。
どうもゲロっていた様子。
付近は近くに駅も無く、タクシーも通りそうにないトコロ。
ちゃんと帰れるんだろうな・・・?
というか、家路に向かっているよね? この酔っ払い!
そんな不安に胸が満たされていきます。
彼女はというと、ますます人気の無い路地を進んでいきます。
我々以外に歩いている人はおらず、近づくと痴漢に間違えられそうなので、仕方なく超ロングな距離をあけて追尾です。
そこから歩くことナント60分!!
ようやく自宅に辿りつきました。トホホ。
トータル150分、2時間半ですよ。2時間半。
たっぷり10キロは歩いてます。
酒に弱い競歩選手か、おのれはっ!!
お酒を飲んでさわやかウォーキングしないでくれよ!!
そんな愚痴をこぼしながらも、モモはパンパン。
早くも筋肉が悲鳴をあげ始めています。
先輩の顔にもさすがに疲労がにじみ出ています。
「先輩、もう足がパンパンですよ。」
そんな泣き言を言ったところ、思わぬ返事が。
「俺は全然大丈夫だよ。お前とは鍛え方が違うからな。」
マジで! マジでスカイ!!
やせ我慢しちゃって・・・。
思っただけで言わなかったですけどね。
しかし、二日後に先輩のぎこちなく歩いている姿を土谷は見逃しませんでした。
ここで一句
歳喰えば 遅く来るなり 筋肉痛
・・・
それにしても彼女はいったい・・・。
普通じゃないっすよね。10キロって。
歩きたい気分でも歩きすぎですよね。
今のところ謎は深まるばかりです・・・。
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