Q&A|約束を破ったら

約束を破ったら

みなさんはどんな気持ちで相手と約束をしますか?

約束を交わすとき、それが破られることを想定している人なんてそうはいないでしょう。
しかし、実際には破られてしまう事の多い約束。
それが男女間で交わされたものであるならば、その意味も重みもまた変わってくるというものです。

小さい頃の約束事といえば、「指切りげんまん~♪」と小指と小指を絡ませて歌うものが定番でしたね。
しかし、この指切りげんまん、子供が待ち合わせ時間を決めるといった生易しい約束の為のものではありませんでした。

起源には諸説あるものの、指切りげんまんの始まりは江戸時代の遊郭であるという説が有力なのだそうです。
誓いの証として、男女互の小指を切断し贈り合っていたことがその決まり文句の始まりなのだそうです。
それが、「約束を守る」という意味と小指の合図に変化して大衆にひろまったようです。
この指切り意外にも、遊郭には様々な心中立てというものがあったようです。
心中立てとは想い合っている男女がその気持ちを相手に示す証拠として行っていたものです。
自分の爪を剥がして相手に渡すという放爪や、想っている相手と手を握り合ったときに親指がくる箇所に入れ墨でほくろを入れる入れ黒子、そして小指にカミソリを充てて箱枕で叩いて指を落としその指を相手に渡す指切りなどです。

どれもこれも、なんだか重い決意を感じさせてくれる類のものばかりですね。
これをされた男性はどう思っていたのでしょうか?
自分のものにはならないという宿命の遊女と、それでも相愛になって約束を交わす。
こんなに嬉しいことはないと喜んでくれるのか、それとも重いと感じてしまうのか。

携帯も電話もない、婚姻届や離婚届もない口約束がすべての時代に、しかも遊郭の女性と立派な殿方が交わす約束事ですから、それを証明する公的なものは何もないわけですね。お互いがお互いの愛情を信じて分かっていればいいのだけれど、形としてそれを残したかったという美しくも悲しい風習です。
今となっては当時の方々の気持ちは測りかねますが、想い人の小指が突然自宅に贈られてきたら普通「あいたたたッ」となってしまうところを「痛みに耐えてまで私に愛を誓ってくれたのだ」と喜びに変えるのですから、昔の男性というのは、強いというか欲深いというか・・・。

ところが実際には、この心中立て、嘘が多かったようです。
爪は奉公している少女が伸ばした爪をはがすのではなく切って送ったり、黒子も墨と油で落ちにくくしたペイントでごまかす。小指に至っては、しん粉細工というもので偽物の小指を作って相手に贈り、自分の小指には包帯を巻いておくのだそうです。
偽物の小指なんてバレるのでは?とも思いましたが、会いに行けば健気に小指を隠す女性を見て、男性は騙されてあげてた部分もあるのでしょうか。

ただし、実際に小指を切り取った女性もいるのは確かなわけで、約束というものを体現するならば、それは己の体を傷つけてでも成し遂げなければならないことである、という意思表示であることは今も昔も変わらないのです。

さて、始めの話に戻りますが、みなさんはどんな気持ちで約束をしますか?

質問を変えたほうが良いでしょうか?
みなさんは、どんな約束を交わしていますか?

・明日からダイエット
・一緒の大学受けようね
・結婚しよう
・今度飲みましょう
・来年のクリスマスも一緒にあなたと過ごしたい
・この映画シリーズ、絶対全部一緒に見ようね
・今週の日曜日、8時に駅集合
・次見つけた仕事は絶対続ける
・ずっと一緒にいよう
・妻とは別れて君と生きていく
・いつか親に会わせる
・将来○○になるから、そしたら迎えに行く

身につまされた想いをしている方、いるのではないでしょうか?
それは約束を破られてしまったからでしょうか?それとも破ってしまったからでしょうか?
本来であれば、約束は守らなければなりません。
お互いが同じ度合いの本気度でもって交わすもの、それが約束なのですから。
しかし、様々な事情から守られないことの多い約束。
その罪の重さは自覚しなければいけません。

私共へのご相談も、守られることのなかった約束に縛られたままの方が多いです。
「私たち、結婚の約束をしていたのです。お互いの両親への挨拶も済ませて、結婚の日取りも決まっていたのです。それなのに突然振られてしまいました。」
「もともと、妻とは別れる予定だったんです。だから、始まりは不倫という形だったかもしれないけれど、彼女にはあと少しで一緒になれると約束していたんです。それなのに、やっとこちらの離婚が成立する直前に彼女から別れを切り出されてしまいました。」
「もともとは彼から告白されて付き合い始めたのです。一目惚れで、こんな出会い今後もう二度とないから、一緒になろうと。確かに口約束だけだったけど、私の誕生日にはお金が貯まったら本物の結婚指輪をプレゼントするって言ってくれたんです。それなのに、他の人と結婚しちゃいました。」
破られた時点で、それは約束でもなんでもなくてただの"言葉"になるのです。
しかし、約束を交わしたという事実を忘れられない方は、その約束が施工されることを待って足踏みをするばかりで前にも後ろにも一歩も進めないのです。
中にはそれが約束ではなくただの言葉だったと自覚している人もいるのですが、それではあまりにも自分を傷つけてしまうので、目を背けて信じている振りをしている方もいらっしゃいます。それでは、事の好転は望めるはずもありません。

私たちの仕事は、贈られてきた小指が偽物であると相談者様に教えることから始まります。
それは、正直とても辛いことです。みなさんその小指が本物であると、心のどこかで信じているからです。
しかし、その小指を虫眼鏡で見て、触って、匂いを嗅いでもらって偽物であることを実感してもらいます。
全てはそこから始まるのです。

中には騙されたのだと憎しみの感情に染まってしまう方もいらっしゃいますし、その時点で相手へ愛想をつかす方も当然おります。
しかし、偽物の小指を送ってきた遊女の気持ちは、遊女にしかわからないわけです。
もしかしたら遊女は本当に小指を切ろうとしたかもしれない。けれどそれを店主に見つかり、良い商売道具が傷物になると困るので力づくで止められて偽の小指を送ることになったかもしれない。実際に小指を切ったものの、それがきっかけで体調を崩し仕事が続けられずに送り届けることができなかったのかもしれない。将来結婚したときに、家事ができなくなることを嫌がり、あえて偽物を贈ったのかもしれない。
相手には相手の都合があって、それは得てしてこちらには伝わらないものなのです。

目の前にある偽物の小指だけを見て、「やはり騙そうとしていた」とか「自分だけが浮かれていた」と勝手に判断するのは、もしかしたらとてつもない罪なことなのかもしれません。
まずはその手元にある小指を、わたくし共に見せてください。
一緒に、それが本物なのか偽物なのか鑑定しましょう。
そして、それをただ眺めているだけではなくて、相手がどういう気持ちだったのか、今現在どうしているのかを一緒に確かめに行きませんか?



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