Q&A|変身願望

変身願望

季節の変わり目になると、まずは気温の変化に伴い服装を変えますよね。
それに合わせて髪型やメイクも変えてリフレッシュしたい、というのが乙女心ではないでしょうか。
夏になったらカラーを明るくして全体的に爽やかな雰囲気を目指す。冬になったらコート類が暗い色になるからそれに合わせて軽やかに見せるゆるふわパーマスタイルで。雑誌の表紙に載っているモデルさんの髪型を目指して美容室で店員さんと一緒に四苦八苦。普通の女の子達が、経験してきた誰もが共感してくれることですよね。

しかし、なかなかそうもいかないのが女探偵の宿命であります。

バーに何度かお越しのお客様なら、その理由おわかりですよね?
だって、私たち、バーテンダーではなく、探偵なんです。

ANSWERには、探偵としてカウンターに立たせていただいております。

そんな私達は、ANSWER以外の時間は調査の毎日です。日々誰かを尾行して町の中をひっそりと時にはダッシュしております。なので、あまり派手な髪型、カラー、目立つような格好はできません。

金髪の人間がビジネスマンばかりのオフィス街にいたら本当に悪目立ちしますからね。
ただし、地味であれば良いだけではありません。
世の中には流行があり、それに極端に乗り遅れた人間も、逆の意味で目立ちます。長い黒髪をみつあみで結んで、なんて人、なかなかそうそう居りません(笑)。ある程度流行に乗りつつ、あまり目立たない、いわゆる「町に溶け込む」ことを念頭に入れたスタイル作りをしています。

しかし、ただ町に溶け込んで尾行さえできれば言いわけでもありません。
ターゲットに話しかけたりする工作も大事な仕事の一つです。
この工作が女探偵のスタイルを決定付ける大きな要因なんです。

一つの案件の工作を抱えている間はあまり髪型含めメイクや服装の傾向も変えられないからです。
初めに会ったときと二度目に会ったときとであまりに雰囲気が変わっていたらターゲットが違和感をもつでしょうし、最悪気付いてもらえないかもしれないですからね。
そういう意味でも、頻繁にスタイルを変えることができない宿命なんですよね。

ということで、男性陣も、比較的オーソドックスな髪型のスタッフが揃っているわが事務所です。
そんなスタッフが、普段とは全く異なるスタイルを心行くまで楽しむことができる仕事があります。
それは、単発工作です。

長期に及ぶものではなく、1、2回程度単発で決行するものです。
こういった単発ものって、比較的変わった内容の工作なことが多いんですよ。

例えば、スタイルに直結する美容院に潜入する案件もあり、私も参加したことがあります。
これは単発といっても5回ほど美容院に通い、あるターゲットを指名して施術してもらう際様々な世間話をして情報収集するというものでした。
ところでこの工作、案件の内容上、1ヶ月に5回美容院に通う必要があったんです。

え~、世の中一般的な美容院に行く頻度など、私は把握してないのですが、普通は2、3ヶ月に一度といったスパンじゃないですか?
それが1ヶ月に5回です。
もう4、5回目には髪を切る場所がないので、ついにカラーやパーマにまで施術が及ぶことになったんです。
この案件は本当に楽しかったですよ。普段あまりできない、どちらかというと我慢していることを思いっきりできるという喜び。
しかもターゲットも腕の良いプロの美容師さんですからね、自然と世間話を挟みながらヘヤースタイルやメイクのことなど色々と聞くこともできました。
このときは、カラーを二回連続でやろうとしたのですが、「髪がものすごく痛むから最低2ヶ月はおかないとカラーリングはできない」ときつく言われ、とうとうパーマをかけることにしたのです。きつきつのウェーブとかはさすがに勘弁して、ということで流行のゆるふわパーマをかけてもらいました。
この1ヶ月は楽しかったです。とてつもないイメチェンできましたからね。
ただし、さすがに他の何件と同時進行は出来なかったです。
なんせ、1ヶ月という短期間に髪の長さも、カラーも、スタイルも変わるという状態でしたから(笑)。

あまり派手なカラーやパーマではなかったので、尾行にも支障はなく、それでも自分の中ではかなりのリフレッシュになりました。

他にも、あるインディーズのバンドのライブイベントに参加し、お客として楽しく盛り上げて欲しいという依頼もありました。
そのときは、スタッフ総勢5名が自分の中にある「ロック」を表現した服装で調査に参加したのです。
ライブですので、"これを着なければならない"という概念はなく、どちらかというと派手めな服装も着てくるのが普通なので、割りとみな普段の地球色の服装から解放されて好き勝手な服装をしていました。依頼人様からもそのような話があったのもありますが。
ところが、その5名の中で、明らかに普段と別人であった人物が2人・・・・・。

普段はわけのわからないグレーや茶のTシャツとGパン、といった超カジュアルな服装をしている某男性スタッフであったのに、その日は高級ブランドのおしゃれスーツをロックに着こなす姿が・・・。
そして、普段はレースや花柄をあしらったファンシーな服装をしている某女性スタッフが、黒の皮ジャンにロングブーツ、超ミニスカートで華麗にダンスする姿が・・・。

あくまで仕事で参加しましたが、その2名は心の底から楽しんでいたようだ、と残りの3名が後に語ったとか語らないとか・・・・。
おそらく2名は、昔は割りとロックな服装をしていたのでしょう。といいますか、プライベートでは今でもそういった服装なのかもしれません。
うーん、人に歴史ありですねぇ。

と、まあ普段とは違う服装や髪形をすると、まったくの別人に見えたり、なによりやってる本人が一番気持ちに変化があるというか、意識が変わりますよね。
コスプレにはまる人がいるのも納得です。
こんな風に仕事として髪型や服装をセーブしていかなければならない一方、同じ仕事で普段とは異なる自分に変身できる事もあるわけです。
つくづく、探偵って、面白い仕事だなあ、と実感する今日この頃です。


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