Q&A|どうしてわざわざ東京から来てくれたの?

どうしてわざわざ東京から来てくれたの?

この言葉を聞いて、とても胸が痛くなるのを感じました。私が勘ぐりすぎなのかもしれませんが、なんだかその言葉が「どうしてこんな被害がある福島県にわざわざ来たの?」と言っているように聞こえたんです。
私は動揺を隠して仕事で来たこと、これから東京に帰ることなどを話しました。
すると、その女性は段々と口調を荒くし、矢継ぎ早にこういった話をしてくれました。

「私もね、この震災でとってもつらい目に遭った。いい人がたくさん死んだからね。でもね、瀬戸内寂聴さんが慰問にきてくれて、その時強く言ってたのがね、あの世には天国も地獄も無い。死んだらみんな同じ、なんて言う人がいるけどそれは嘘。天国もあれば地獄もあるのよ。それは全て生きてる時の行いによって評価されて行き先が決まるんだって。行き先は7つあって、一番良いのが天国、悪いのが地獄って感じらしいのよ。今回の震災では、いい人に限って死んでしまった。性格が優しいからお年寄りを助けようと思って道を引き返して津波に巻き込まれたなんて人がたくさんいた。だからみんな傷ついているのよ。ああ、なんであんな良い人が死ななければならないの?って泣いた。でも、寂聴さんが言うには、そういう人は絶対死後、天国で幸せに笑ってるって。よい行いをした人とそうでない人とでは、必ず差ができるって言ってた。それならば、いいか、と悲しみを乗り越えられるのよ。だからね、お姉ちゃん。今生きている時に何をするかが大事よ。それが全て。今日はあえて良かった。お婆ちゃんの話を聞いてくれてありがとうね。気をつけて東京に帰ってね。」

・・・・、女性は私に手を振って元気に立ち去りました。
短い時間でしたが、その女性との話はとっても深くて面白くて楽しかったです。
そして、ただ足を運んだだけの人に、ひたすら感謝できるその女性の性格や感性にも感動を覚えました。
それはその女性だけのものではなく、福島県民の気質や、被災者の立場からのお話だったのかもしれません。
とにかく、その深い悲しみとそれを乗り越える強い気持ち、そしてなにより大事なのが生きている今なにをするか、というお言葉がとても胸に残りました。
そして、しばらく駅のロータリーで、女性の後ろ姿を見送りながら、心の中で強く誓ったんです、私は!!

「あの世に行ってから後悔しないよう、今を大事に、そしてこれからも調査に邁進致します!!!!!」

私の強い決意の横で、たった今駅に着いたスタッフは、なぜ私がこんなにも勇ましい顔をして見知らぬ女性の背中を見つめているのか不思議でならなかったそうな・・・。
いつか、あの女性がANSWERに来てくれないかしら、と奇跡を願いつつ、今日も調査後のバー勤務に勤しんでいるのであります。


Q&Aトップに戻る

 

トップページに戻る