探偵の学び舎
アンサーに来るお客様はお一人のかたから宴会のかたまで様々です。
お一人でカウンターに座られるお客様は探偵である私達スタッフの話を聞いてご自分の話などもしてくれるかたが多いです。
ただ、たまにフラッとお一人でいらしてだまってお酒を飲んでそして帰っていくお客様もいます。
そういうかたはなんだか探偵の血を沸かせるというか、気になる存在だったりします。
ただ、ここはあくまでバー。
私達スタッフは静かにお客様を見守るだけです。
一方宴会なんかのお客様は非常に楽しそうに会話をされてお酒を飲まれていきます。
人数が多ければ多いほどお客様同士で話される傾向が高いですね。
そんなお客様たちの中で、私が個人的に興味をそそられるのは女性2人組みのお客様です。
カップルさんや男性同士ではなく、女性同士なところに非常に惹かれます。
と、いうのも、女性同士の会話って、本当に聞いていて面白いんですよ。
お2人の会話にスタッフが参加しようがしまいが、女性2人のお話は私にとっては宝の山のようなものです。
別に会話内容を参考にしてどこか別の機会に私が話す、とかではないですよ?
そのお2人の会話のテンポや雰囲気が見ていて単純に楽しいのです。
中でもやっぱり好きなのが、女性同士の恋愛話です。
お2人同時に自分の恋愛の話をしていく方達。
どちらか一方が話役で、もう一方が聞き役に徹する方達。
どちらか一方が結婚されていて、結婚の愚痴を話すも、もう一方の女性は結婚に夢見ていたり、結婚の愚痴を聞いて結婚への希望を失ってしまった女性もいたり。
別れたばっかりの女性をもう見ていて涙がでるくらい一生懸命慰めていたり、逆に涙ながらに恋人との別れを語っていたり・・・。
もう、本当に皆様、かわいいんです。
なんというか、一生懸命なんですよね。
自分たちの恋問題に対して!
これは、とっても素敵な事だと思います。
同じ女性として、惹かれる部分でもありますし、全くもって関係無い立場ですが、応援したくなったりします。
あと、同行している相手との関係性も会話の中から垣間見えて微笑ましかったりします。
ずっと敬語で話しているのを見ると(ああ、職場の先輩後輩なのかな。)と思ってると後輩らしき女性が自分の恋愛話に夢中になって、思わず友達のように話してしまってそのすぐあとに「あ、すみません」「いいよいいよ、それで?」みたいなやりとりは最高にかわいらしいです。
また、最初から友達同士での会話ですと、もうすでに会話内容が熟されていて、しばらく聞いていないと、はたからではなかなか把握できない場合もあります。
ただ、会話の端々からヒントを得て、(ああ、こういうことか。)と順々に理解していく楽しみはあったりします。
一組、印象に残った女性お二方がおりまして、一見様で、フラッと夜中の3時あたりに来店された方たちでした。もうすでに二人とも酔われていて、始発まで時間があるし、面白そうだから、と足を運んで下さったそうな。
とても仲の良さそうなお二人、揃って同じカクテルを注文され、わいわい言いながら飲まれていました。それまでお互いに大笑いして楽しそうにしていたのに、急にお一人が真面目な顔をして、
「ねえ、○○ちゃん、まだ△△と付き合ってるの?」
私は、この時この女性の声のトーンが低くなったのを覚えています。
少しドキドキしながら相手の女性の反応を待っていると・・・、
「・・・・うん。??ちゃんは?」
「私もまだ付き合ってる・・・。」
・・・・・・・・・!!!!?!??
え、ええ?どういうこと・・・?
「やっぱりまだ別れられないよね・・・。」
「うん・・・。別れ話になるとはぐらかされるし、そのうちこっちももういっかなってなっちゃう・・。」
「わかるわかる。△△ってさ・・・・」
・・・んんん?
ってことは、つまりこの目前のお二人は、お二人とも△△と、ってことですか?
というか、△△・・・・!!あなたって人は・・・・・・・・・・・・・・・・。
その後私のグラスを拭く手は微動だにしなかったという・・・・・。
いや、アンサーにいらっしゃるお客様は揃って「探偵なんて、映画の世界みたい。すごい。」
なんて言っていただけますが、とんでもない。
お客様の日常も、なかなかどうして、激動な内容ではないですか。
探偵の仕事現場は激動ですが、探偵のプライベートなんて、お客様のものと比べると薄っぺらい薄っぺらい・・・・・。
日々アンサーにて勉強させていただいております。