Q&A|プライベートではそんな能力使いません

プライベートではそんな能力使いません

「男はモテるだろうけど、女探偵はモテないだろうね~!!」

・・・・・・これは、実際にアンサーのお客様から私が言われた言葉です・・・。

その方は何度かアンサーに足を運んで下さっている男性の方で、最近彼女ができたからとわざわざ紹介がてら女性と一緒にご来店下さったのです。彼女さんはとても素敵な女性で、二人を見ているとこちらまで幸せになるようなラブラブな雰囲気を醸し出していて、折角おいしいカクテルをお出しして楽しい時間を過ごしていたというのに・・・・。

・・・え?なんですって?今なんか言いました?

しかも、そのセリフの後私と目が合うと、
「あ、ごめんなさい。」
と真面目なトーンで謝罪の言葉を。

むしろ傷つきますって!!

その男性が言うには、男性だと"格好良い"部分が、女性だと"怖い"になるみたいなんですよね。
単純に言えば、女探偵を彼女に持つと、隠し事や浮気が全てバレてしまって監視される~!
と思ってしまうようなのです。

だったらそもそも隠し事も浮気もしなきゃいいじゃないですか!!
そういうことをするのが前提になってるから無駄に怖いとか思うんですよ!!

いえ、そもそもですね、別に私たち、プライベートではそんな能力使いませんから。
そんな無意識に対向車両のナンバー暗記してみたり、自分が乗っている電車車両の乗客の顔全部覚えてみたり、話し相手の目の周りの筋肉の動きに敏感だったり、話し相手が携帯でメールを打っていたら親指の動きでなんとなく内容がわかってみたり、その程度ですよ、やったとしても。

・・・、え、十分やり過ぎですか(笑)?

でも別に上記のはお遊び程度といいますか単なる暇つぶしで、だからといって恋人の監視や浮気発覚には繋がらないとは思うんですけどね。

アンサーに入っているときはいつお客様がいらっしゃるかわかりませんので、暇なときもお酒の在庫確認や食器整理などして過ごしてますが、現場への移動中や、長丁場の調査では必要に迫られて暇を持て余す事が多々あります。そんなときは私含め、それぞれに暇つぶしの極意があるようですよ。

私もそうですが、一番オーソドックスなのは人間観察です。
行き交う人の様子を見ているだけで本当に飽きないものです。
それに、調査の内容上、どこかの建物の出入口を張っていたりすると対象者を探す手前、それ以外の人のことも同時に観察することになるので、一概には暇つぶしとは言えないですね。
電車に乗ってるだけでも感じますが、本当に世の中には色々な人達がいます。

一番目に着くのはやはり服装です。
駅のホームで全身緑色の男性が誰かを待っているのを見かけ、髪の毛から靴下まですべて緑色の彼の待ち人がどんな人なのか見ていると、私の視界の片隅にショッキングピンクの塊が入ってきました。おや、と思ってそちらに目をやると、全身がピンク色の女性がすたすたと歩いてくるのです。
え、え、え、と思っていると、その先には緑色の塊が・・・。
うそ、まさか!そんな事って!!!
・・・・・二人は話すことも目を合わせることもなくすれ違っただけでした・・・。
何故か異常にがっかりする自分がそこにはいました・・・。

他には、自分が今いる地点から北の方角はどちらか、と常に頭の中に地図を描いている地理おたくもいます。その人は、調査に出る前に調査現場の地図を全て暗記してくるので、まず現場に来たら実際の街並みと地図との統合を図ります。まあ、ここまでは暇つぶしではなくて立派な事前調査です。彼だけでなく皆やることでしょう。
しかし、彼の場合はここからが違います。
地図の中に描かれていた小道や小さなお店などが全て一致しているかチェックするのです。
地図と言ってもネット上で見られるものなので、時差がかなりあるものが多いです。その為大きな建物を目印に場所を覚えるとその店が潰れてしまっているなどするともうここがどこだか分からない、なんて事態にもなりかねません。
それらを回避するためなのか、単なる趣味なのかは不明ですが、時間の許す限り現場周辺を見てまわって、時々晴れやかな笑顔で「そこの角にあったコンビニ、潰れて今は空き地になってますよ!」なんて報告をしてきます。どうやら、地図には載っていない生の情報を手に入れることに何より喜びを感じるようなのです。

他にも、張り込み場所から見える全ての看板を近い方から読んでいき、一体どこまで読み切ることができるか自分勝負をする人や、英語が堪能な人は目に映る全ての日本語を英語に変換していたり、野鳥や虫、犬猫、視界の中に何種類の生物がいるのかチェックしてみたり。

人によって様々な暇つぶしをしているものです。これを聞くと「調査中によそ見してて大丈夫なの?」などと言われそうですが、実は大丈夫なのです。というかむしろこのほうが良いのです。
というのも、対象者ばかり、対象者宅ばかりを注視していると、その視線がどうしても相手に伝わってしまうものなのです。
なので、よそ見しているぐらいがちょうど良かったりします。いい意味で力を抜いた状態での張り込み、ということです。

こんなことをしながら日々頑張っています。
お客様に「モテない、」と言われたところで、別に探偵の心には全くもって響かないのです。


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